1 附属学校園の機能強化
現在,少子化とそれに伴う教員数減少等の社会的課題を背景として,日本の学校教育全体の質向上 をリードする国立教員養成大学・学部の附属学校園の機能強化が求められている。そこで宇都宮大学 共同教育学部附属学校園(以下附属学校園)では,重点的に強化する機能を次の 4 点に整理した。
資質・能力の効果的な育成
教員養成・研修の充実
大学・附属教員の指導力向上
研究成果の還元
これまで附属学校園は,一つ一つの授業についての研究を丁寧に重ね,子どもたちの資質・能力を効 果的に育成する質の高い学びを実現するとともに,宇都宮大学共同教育学部(以下大学)教員と附属学校 園教員の指導力を向上させてきた。また教員養成・研修の充実や研究成果の還元を積極的に行い,地 域・社会に貢献してきた。これらの成果に基づいて,附属学校園は,大学教員と附属学校園教員によ る連携研究により機能強化を実現し,地域・社会の教育研究,教員養成・研修の拠点校となることを目指す。そのための具体的な方策として,次の 2 点を設定した。
12 年間の学びの連続性を考えた単元・授業づくり
大学教員の知見を生かした授業実践・分析・評価
これらを通して,附属学校園が目指す子ども像「社会の変化に対応し,未来を創り出す,たくまし い子ども」の実現,さらには育てたい資質・能力「学びをつなげる力」「かかわり合う力」「やり遂げ ようとする力」の育成を目指す。
2 12 年間の学びの連続性を考えた単元・授業づくり
附属学校園の連携研究では,目指す子ども像の実現に向けて,附属学校園が互いの学習目標,学習 内容,指導方法等を共有し,一体となって検証することで,より効果的・効率的に子どもの資質・能 力を育成することが大きなねらいとなる。異校種間の連携の意義については,文部科学省(※)から も次の 3 点の重要性が示されている。
(1) 一貫した教育課程の編成を見据えて,連携した教材開発を行うこと
(2) (1)を通した学習指導の評価指標の在り方について,異校種間で連携して議論・確認していくこと
(3) (1)と(2)を実現する PDCA サイクルを展開していくこと
附属学校園の連携研究を通して,教科で育成する資質・能力を視点とした連携の具体的な在り方を, (1)~(3)のモデル事例として提案する。
3 大学教員の知見を生かした授業実践・分析・評価
これまでの附属学校園の研究成果を生かしつつ,授業づくりから評価までのプロセス全体に大学教員が関わることで,より先導的・先進的な研究を展開する。そして,各教育委員会,各教育研究会等 からの指導・助言を得ながら,研究の成果を学術的に明らかにすることで,それらの妥当性や信頼性 を高め,より一層地域・社会に貢献できるようにする。
4 連携研究プロジェクト
附属学校園の 4 つの機能強化を実現し,連携研究における 2 つの方策に大学教員と附属学校園教員 が協働的に取り組むことができるようにするため,各教科等の研究部会として 13 のプロジェクトを 組織する。各プロジェクトは,目指す子ども像と育てたい資質・能力を踏まえて「研究テーマ」「目指 す学びの道筋」を設定し,研究を推進する。公開研究会では,研究授業,研究協議等を通して各プロ ジェクトの研究成果を公開し,研究概要や実践資料,実践紀要や学会発表等により,研究内容や方法, 研究成果を地域・社会に広く公表する。
(※)文部科学省. 小中一貫教育の推進について http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/ikkan/1357575.htm
文部科学省. (2014). 『子供の発達や学習者の意欲・能力等に応じた柔軟かつ効果的な教育システムの構築について(答申)』