戻る

重力を表示できない訳

3次元加速度センサー

加速度センサーのモデル

Fi-Cubeでは,本体の加速度を3次元デジタル加速度センサーで計測しています.3次元加速度センサーは,原理的にはおもりを3方向のばねで吊ったものだと考えることができます(右の図を参照).加速度がかかると,慣性でおもりがつりあいの位置から加速の向きとは逆方向にずれます.このずれを計測すれば加速度が分かります.

力と加速度は同じ向きですから,おもりの動きと逆方向に力が働いたことになります.つまり,Fi-Cubeではおもりのつりあいの位置からのずれを力として表示していることになります.くどいようですが,力の向きはおもりのずれと逆方向となります.

では,水平面上に静止している場合はどうなるでしょう?右図のおもりは重力のために,元々のつりあいの位置から鉛直下向きに重力の分だけ下がったところでつりあいますよね.力でいうと上向きに力が働いていることになります.これは垂直抗力に他なりません.つまり,加速度センサーの出力をそのまま力として表示すると,水平面上に静止している場合には垂直抗力のみが表示されることになります.

次に,Fi-Cubeが自由落下している場合を考えましょう.この場合,Fi-Cube内では見かけ上無重力状態となるので,おもりは中央に静止するはずです.つまり,加速度センサーの出力をそのまま表示すると,自由落下している場合には力は何も表示されません.

このように,加速度センサーの出力をそのまま表示したのでは,水平面上に静止している場合も自由落下している場合も,決して重力は表示できないということが分かります.


戻る
製作:2010/12/3  更新:
理科教育学教室トップページへ
ご質問,ご要望は ito◎cc.utsunomiya-u.ac.jp までお願いいたします(◎を@に変えてください)