原理
物体が加速したとき,その物体には力が働いたと言います. つまり,力は運動方程式で定義される仮想的な作用ということもできます. 力は質量×加速度ですので,力の絶対的な大きさは物体の質量に依存しますが, 質量の変わらないある物体に働く力を相対的に表示するには, 加速度を測定してそれを表示すればよいことになります.
また,力を可視化する場合,中学・高校の指導内容に沿った形でなければなりません. つまり,静止している物体には力は働いていないというのではなく, 地球上の物体には必ず重力が働いており,静止している物体においては 重力と垂直抗力が釣り合っているということが見えるような形が望ましいと言えます.
ハードウェア
以上の性能を持たせるため,Fi-Cubeは図1のような構成になっています.
まず,加速度を測定するための三次元デジタル加速度センサーを内部に備えています. その出力をPICというワンチップのマイコンを用いて処理します.
その処理結果を2面に十字に配置したLED表示器によって図2の写真のように表示します. XYZの3方向に働く力の大きさを中心からのLEDの数で表すようになっています.
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図1.Fi-Cubeのブロックダイアグラム | 図2.Fi-Cube全景 |
重力を表示するための工夫
上の話と矛盾するようですが,単純に加速度センサーの出力を表示しても重力を表示することは原理的にできません. それについては重力を表示できないわけをご覧ください.
Fi-Cubeでは重力を表示するためにソフト的にある工夫をしています. それは,加速度センサーの出力の長時間平均と短時間平均を独立した2つの情報として使うことです. 重力は地表付近にある物体には恒常的に働くので,Fi-Cubeでは加速度センサーの長時間平均を使って重力を表示しています. それ以外の力は短時間平均に基づいて表示します.
この工夫によって,静止している物体および等速直線運動している物体には重力と垂直抗力が働いており, これらが釣り合っているという状態を表示することができるのです. このアイデアは宇都宮大学から特許出願されています.
製作所
Fi-Cubeは,宇都宮大学からの発注を受け,株式会社計測技研 によって製作されています.株式会社計測技研では,平成22年度に栃木県からものづくり補助金を取得し, 宇都宮大学と共同でFi-Cubeを理科教材として製品化するための研究を行っています. 平成24年から教材会社経由で市販が始まりました.