Page3 /5

遷移金属の抽出と計算機化学

              
[prev. page] [first page] [question] [next page]


1.3 抽出試薬に必要とされる性質

 図3 金属の抽出試薬は分子個々で扱うことができるため、既に、多くの研究者が半経験的分子軌道計算を用いてその特性解明に成功している。しかしながら、良く用いられている半経験的分子軌道法はハミルトニアンへパラメータを代入して解く方法であるため、分子中に含まれている全ての種類の原子のパラメータを 今後、ハミルトニアンの重原子への拡張や溶媒効果の解明が行われて行くと考えられる。一方、例えば吸着剤の場合、量子化学計算による官能基自体と吸着物質の性質解明のみでは吸着現象を説明することができない。これは、官能基間の近距離相互作用による吸着量論関係の変化や、吸着部位の立体障害や疎水性−親水性バランスなどの吸着環境が重要な要因となってくるエントロピー効果が存在するためである。また分離膜の場合は、エントロピー効果がその分離性能の殆どを占めているため、極めて難しいのが現状である。


[next page]