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TEL. 028(621)3871

令和2年度研究 エピソード記録による一人一人の対話性の探求

○授業作り

 本研究では,各学部の児童生徒の実態を踏まえて学部テーマを設定し,授業実践を通して検討を重ねている。
 本校では,対話性を「相互主体的に,自分の考えを表現したり他者の考えを受け止めたりする中で,新たな認識を柔軟につくり出す態度や性質」と捉えており,各学部の児童生徒の実態や課題意識等を踏まえて設定した。

 各学部のテーマは,下記のとおり。
 【小学部】「やってみたい」という思いを育む授業作り〜個々の思いを活かして〜
 【中学部】友達の考えを受け止め,選択・行動する力を育む授業作り
 【高等部】
自分の考えを整理し,表現する力を育む授業作り


【小学部】「やってみたい」という思いを育む授業作り〜個々の思いを活かして〜
 小学部では,対話性の中でも,特に「自分の考えを表現したり」の部分に注目した。児童の実態から,自分の思いを表現できるようになってほしい,関りを広げてほしいという願いをもって,学部テーマを設定した。

 研究授業1「絵の具で自由に描いてみよう」(小学部1・2年生)

 絵の具遊びの活動を通して,様々な色に触れる経験を積むとともに,身近な教師や友達と一緒に活動する楽しさや絵の具で自由に表現する楽しさを味わえることをねらいとした。
 絵の具を手にいっぱい付けて感触を楽しんだり,紙に絵の具を塗って楽しんでいた。教師や友達の様子を参考にできたことで,安心して活動に取り組めた様子が見られた。
 
【授業改善の視点】
1)自分の意思を反映できる場面の設定
2)視覚的な情報を提示した,分かりやすい環境の設定
3)教師や友達の活動を参考にしながら取り組めるような配置

 研究授業2「見つけた秋で遊ぼう」(小学部5・6年生)

 秋を題材として取り上げ,季節の移り変わりを感じながら,校庭で見つけてきた木の実や葉をなどの素材を通して,遊びの中で自分の思いを表現したり,工夫して遊んだりすることをねらいとした。
 散策中に見つけた木の枝とどんぐりを接着して,おもちゃや食べ物に見立てて作ると,それらを使って遊んだり,その作品を見せ合ったりして活動する様子が見られた。
 
【授業改善の視点】
1)児童の「やってみたい」が実現できる場面の設定
2)分かりやすい環境の設定
3)児童同士が互いに思いを表現できる雰囲気作り


【中学部】
友達の考えを受け止め,選択・行動する力を育む授業作り
 中学部では,対話性の中でも,特に「他者の考えを受け止め」の部分に注目した。学部全体で取り組む中で,みんなで向かっていってほしい,自分から行動を起こしてほしい,考えて行動に移してほしいという願いをもって,学部テーマを設定した。

 研究授業1「オリオン通りについて知ろう」(中学部1年生)

 宇都宮市のオリオン通りを中心に,店舗や公共施設の写真を撮ったり調べたりする校外での活動を行った。事前学習では,実際に調べたい店舗について考えることをねらいとした。 
 八百屋や飲食店,美容室などの店舗の中から,見学したい店舗をそれぞれ発表し,その上で見学場所を考えることができた。
 
【授業改善の視点】
1)安心できる環境の設定
2)友達の意見に触れる場面の設定
3)意見の読み取り方の工夫

 研究授業2「曲から想像する自分なりのイメージを考えよう」(中学部3年生)

 学校祭のステージ発表に向けて,自分で奏でることのおもしろさや,友達と演奏を合わせることの楽しさを感じながら,器楽演奏の練習を重ねた。練習する上で,曲のイメージを考えることをねらいとした。 
前時に生徒達自身で演奏した曲を聴いた後と,グループ練習を行った後に,「どのようなイメージだったか?」という発問を投げかけると,曲の練習を挟んでイメージが変わったり,友達の答えたイメージに賛成したりする様子が見られた。
 
【授業改善の視点】
1)自分のイメージを相手に伝える場面の設定
2)曲のイメージを一つに絞る過程において,友達の意見に触れる機会の設定


【高等部】自分の考えを整理し,表現する力を育む授業作り
 高等部では,小・中学部で大切にしている視点を踏まえながら「新たな認識を柔軟に作り出す」の部分に注目した。様々な課題に直面したときに自ら解決しようとしてほしい,「考え,判断する」という過程を大切にしてほしいという願いをもって,学部テーマを設定した。

 研究授業1「みんなが楽しめる方法を考えよう」(高等部1年生)

 生徒の興味関心の高い音楽を通じて,友達の気持ちに思いをはせながら,みんなで楽しむことの心地よさに気付いたり,好きな音楽の興味関心を広げたりすることをねらいとした。 
「みんなに見てもらう楽しい動画を作りたい」というクラスの思いから始めた歌番組作りを通して,各々の歌っている姿や踊っている姿を見て,より楽しく表現する方法について考える様子が見られた。
 
【授業改善の視点】
1)違いに着目して,自らの考えを伝えられるような発問の工夫
2)友達の意見を聞いたり,友達に誘われたりする場面の設定
3)安心して自らの考えを表現できる環境の設定

 研究授業2「清掃実演の練習をしよう」(高等部クリーンサービス班)

 学校祭で清掃実演をすることを目標において,「一人一人が自分の役割に責任感をもって取り組むこと」,「相互評価をして自分たちで考えて作業すること」をねらいとして取り組んだ。 
 3人でグループを組んで作業に取り組む中で,学校祭での清掃実演を成功させたいという思いをもって,互いに良さや課題を伝え合い,それを素直に受け入れて真摯に練習に取り組む様子が見られた。
 
【授業改善の視点】
1)自分で気付いたことを仲間に伝える場の設定
2)作業で良かった点や改善点に気付いたり,整理したりできる発問
3)安心して意見を伝え合える環境の設定



※「研究について」に戻ります。

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