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TEL. 028(621)3871

令和元年度研究 対話性を重視した学びに基づく教育実践の創造

○内面を見る

 本校の児童生徒は,一人一人に自ら行動する姿も多く見られるが,受け身的に学びに取り組む姿も見られる。つまり,学びに対して,必ずしもうまく向き合っていることばかりではないともいえる。背景には,興味関心がなかったり,苦手だったり,恥ずかしかったり,体調がすぐれなかったり,取り組もうにもやることが分からなかったり,やっていても教師の意図と違うことだったりと,様々にある。また,児童生徒の思いと教師の願いとの間には,常にズレが生じる。個人差もあり,教えても教師の意図したように学ばないことも多い。学びに向かう力は,誰しもが同じようにもっているわけではないし,状況によっても異なる。それらの状況を踏まえて,児童生徒とどのように向き合っていけばよいのだろうか?

 

 児童生徒一人一人は,異なる存在である。教育実践において,教師は一人一人と向き合いながら,しっかりと現実を見据えて,一歩ずつしか進むことができない。このことは,「対話性を重視した学び」においても同様である。本人の願いや考え,裏側に潜む不安などを受け止めながら,一人一人を異なる存在として認識し,根気強く向き合い続けることが大切になる。子どもの気づきに寄り添いながらともに学んでいくこと,決して焦ることなく適切な機会を捉えて働きかけていくこと等,子ども主体の学びを成立させるために,教師の果たす役割は大きい。児童生徒の内面を見つめながら,対話性を重視した学びを通して,新たな気付きや認識を作り出していきたい。

○校内研修の実際
 「対話性を重視した学び」を考える上で,「内面を見る」という視点を大切にしてきた。一人一人の内面を捉えるための一歩として,校内研修では下記の内容の研修を行った。

 (1)児童生徒一人一人についての「うまくいった事例,いかなかった事例」
 (2)学部の児童生徒に見られる「主体的な思いと受け身的な思い」
 (3)学びに向かう力を考える

 ここでは,簡単ではあるが実際に使用した研修資料(例)を掲載する。

(1)児童生徒一人一人についての「うまくいった事例,いかなかった事例」
 クラスの児童生徒一人一人について振り返り,うまいくいった・嬉しかった事例とうまくいかなかった・悩んでしまった事例を,それぞれ挙げた。そして,そのときの子どもの思いはどうだったのか(主体的or受身的),その瞬間の教師の願いとは重なり合っていたのかを考え,付箋に書き出した。
 「できる」とは,単に何かができたことではなく,本人の思いがあって「できる」ことが大切だと考える。教師は子どもの思いに寄り添うことが大切だということを,改めて確認する機会として設定した。



(2)学部の児童生徒に見られる「主体的な思いと受け身的な思い」
 (1)の研修で出た事例を基に,その際に見られた児童生徒の思いを具体的に考えた。「うれしい」「こうしようかな?」「やってみたい!」「最後まで頑張るぞ」「これは苦手だけど我慢しよう」等,子どもの視点に立って思いを考えること,他の教師から見た多様な視点を受け止めることによって,一人だけでは気付くことができなかった視点にも思いを向けることができた。



(3)学びに向かう力を考える
 新学習指導要領においては,三つの柱の一つに「学びに向かう力」が設定されている。内面を見るという視点から考えるならば,小学部一段階から高等部二段階までを,大まかに確認する中で,どのような心の動きを想定しているのかを見ていくことは大切だと考える。(2)の研修と同様に,具体的な子どもの思いとして表現してみることで,学習指導要領に示された言葉にどのような思いや願いが含まれているのかを確認することができた。


※「研究について」に戻ります。

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